お釈迦様の手のひら

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NHKの番組に「日本百低山」という企画があります。その中で、屋久島の太忠岳が紹介されていました。しかし、気になったことがあります。それは、岳詣りへの誤解です。番組では「屋久島では古来、海岸の砂をとって山に登り、シャクナゲを持って下山するという「岳参り」という風習がある」とされていますが、形式的に岳詣りをとらえていて、その本質がわかっていません。
私見によると、岳詣りとは、講組型参詣登山です。講組とは、富士講とか、伊勢講などのように、集落が講を組んで、富士登山とかお伊勢参りをして、その功徳を集落に持ち帰ってもらうというものです。岳詣りでは、集落の中の元気な者が集落を代表して、定められた山に参詣をして、山の霊を麓に下ろし、その恩恵を集落全体に分けてあげる、というものです。代表者が集落に帰還する前に、山と里との境界で「さかむけ」(境迎)をして出迎え、そのあと各家庭に山の霊ののりしろであるシャクナゲの花を配り、最後に慰労会をするというものです。代参講と呼ばれる典型です。
普通の登山者が形式的に浜の砂を竹筒に入れて、山頂の「一品宝珠大権現」(いっぽんほうじゅだいごんげん)の祠に供えたら岳詣りになるということではありません。このような番組で、中途半端に岳詣りが紹介され、誤解が全国的に拡がることを危惧している。
「太忠岳・鹿児島」 – にっぽん百低山 – NHK
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